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道産作物が

おいしいわけ

 

道産作物の品質の高さや味の良さは、科学的にも裏付けられるようになってきました。秘密は、夏でも夜には気温がほどよく下がる道内特有の寒暖の差。特に道北の内陸に位置するここ比布町は、旭川の隣に位置し、季節による気温の変動においても60℃にもなる寒暖の差があります。これが味だけではなく、ホウレンソウなどの葉物野菜の栄養素や、日持ちをも左右する

ことがわかってきました。

イソフラボンが1.5倍

 <大豆を例にすると>

 同じ種類の大豆に含まれる「イソフラボン」の量を産地ごとに

調べると、道央より、気温が低い道北や道東で育った大豆の方が

高いようです。イソフラボンは女性の更年期障害を和らげ、

骨粗しょう症やがんの予防などにも効果があるとされるものです。

研究によると、気象条件とイソフラボンの関係は、花が咲いてから実が熟するまでの「登熟期」までの気温が低いほど、イソフラボンの含有量が増えることがわかりました。寒さに強い品種の開発が

進められてきた結果、イソフラボンも高くなる特徴が付随して出てきました。道産大豆「ユキホマレ」のイソフラボン量は、西日本で栽培される「フクユタカ」や「エンレイ」の約1.5倍です。

糖度が高い

<かぼちゃを例にすると>

 道内の気候特性である寒暖の差。これが大きいほど、果実

などの甘みが増すことはよく知られている話です。その仕組みは

植物の呼吸にあります。日中の光合成でつくられる糖分は、夜に

植物が呼吸するときのエネルギーとして使われます。夜の気温が

高ければ、それだけ呼吸も増えて糖分が消費されますが、逆に

低ければエネルギー消費が減り、多くの糖分がそのまま残ります。これが、「夕張メロン」や「でんすけすいか」など、道産果実の

高い評価を生み、かぼちゃの甘さを引き出すなど多くの野菜の

糖度に影響しています。特に人が感じる「甘さ」に最も影響する

糖分の一種であるショ糖の含有量がおおむね高い傾向にあります。

 

ビタミンCが多く、日持ちする

<ホウレンソウを例にすると>

 実はこの寒暖の差が、ホウレンソウなどの葉物野菜の日持ちや

ビタミン含有量にまで影響していることは、今まであまり知られていませんでした。最近、野菜に含まれる糖分が多いほど、葉の

「しおれ」が少なく、貯蔵できる期間が長くなることがわかって

きました。また、ビタミンCはブドウ糖から作り出される物質で、一般的に糖分含有量が多いほど、ビタミンCが多くなることも

明らかになってきました。

 

ポリフェノールが外国産の2倍

<小豆を例にすると>

 体内にたまった活性酸素ををなくす働きのあるポリフェノール。

道産小豆には、今や国内需要の5割を占める中国産小豆の2倍の

含有量をほこります。それは、品種の差もありますが、登熟期の

気温や日照時間の違いからくるものです。

 小豆に限らず、紫色の野菜はポリフェノールが含まれているので、意識して食べると健康維持に効果があります。

 

(北海道新聞 2014年8月19日 道立総合研究機構中央農試 加藤農業環境部長 解説より)
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